響き合いプロジェクト震災復興を願い、いまこそ音楽を通して響き合おう

はじめての東北

2011年3月11日未曾有の大震災が起こったあの日、私は翌日に控えたコンサートの打ち合わせの電話をしていました。受話器の中、時間差で起こった大地震に震えながら、ともかくまたあとで連絡を取り合おう!そう約束をして電話を切り、あわてて家に戻りました。テレビをつけるとヘリコプターからの実況中継が、不気味な黒い水がどんどん町を飲みこんでいく様子を生々しく映し出していました。走っている車も、学校も、何もかもが無差別に飲み込まれていくその様子を、呆然と、無力に見つめるしかありませんでした。

 家族の無事が確認でき、翌日からの仕事はすべて白紙になり、ありあまる時間の中で、あまりにも無力な自分を持て余しながら私は今何をするべきかを考え悩みました。そして…やっぱり自分は『うたうたい』。こんなときこそうたうんだ!そう心に決めて『祈り』という曲を作りました。ただひたすらに祈りながら。やがてその曲がきっかけとなり、その年の10月に、石巻市立北上中学校の合唱祭のゲストとして招かれ、コンサートをさせていただくこととなったのです。
しかし実際に被災され、家族や大切なものを失った方々の前で45分間何を歌い何を語るか?考えると、ふさわしい曲など一曲もないのではないかと思うほど、恐ろしくて悩みました。とくにこの『祈り』の歌詞はとても重く、被災者ではない私がこれを歌うことでかえって傷つけてしまうんじゃないのか?目の前で拒否されるんじゃないか?内臓が石になったように重苦しく、震えました。けれど、私はクリスチャン。この曲は神様が私に下さった曲。この曲を通して働いてくださるのは神様なんだから、主のお導きのままに、私はただ身をゆだねればいいんだ!祈りの中でそう答えをいただき、私の東北通いは始まりました。今までに30回ほど伺い、横浜に数回親しくなったご家族をお招きして交流会を行いました。貧乏ミュージシャンである木村真紀が、こんなに長く通うことができているのは、響き合いプロジェクトに賛同してくださって、募金してくださった多くの方々、継続的に支援してくださる方々ののおかげと、心から感謝いたします。
この活動の中で、天から降ってきたパズルのピースが ぱちぱちぱちっと完成する瞬間を何度も経験させていただきました。私など本当に小さな欠片ですが、たくさんの方々の想いや行動が結実する瞬間、私は天からの大きなちからを感じました。
かみさま ありがとう。助けてくださるみなさん 本当にありがとう。

追記:響き合いプロジェクトとは、シンガーソングライター木村真紀が、『私を東北支援に行かせて!東北で歌わせて!』と、立ち上げたプロジェクトです。賛同してくださる方からの大切な支援金を交通費、宿泊費、現地でサポートしてくださる方への謝礼として使わせていただき、みなさまの想いも一緒に東北へ行き、歌い、そこで見、感じた東北の現状をみなさまにお伝えする…という活動で

KIMURA MAKI Profile

きむらまき写真

大学在学中からスタジオミュージシャンとして活動。CM、ゲーム、アニメ音楽など様々なジャンルを歌いこなす『七色ヴォイス』。もののけ姫『えぼしたたらうた』NHKおかあさんといっしょ『ぱわわぷ体操』ゲームアヌビス「Z・O・E」など作品多数。

結婚出産後、3枚のアルバムをリリース。一筋縄ではいかない日常をキラキラと…せつなく、やさしくうたうコンサートは、幅広い世代に共感を呼んでいる。

2011年『響き合いプロジェクト』を立ち上げ、『仮設がなくなるまで!』を合い言葉に今も東北復興支援継続中。復興応援CD『祈り/わたしはひまわり』をリリース。利益をすべて復興支援に寄付している。

東京音楽大学作曲専攻。2016年度松蔭大学生活心理学科非常勤講師も務める。

プロフィール詳細・活動履歴

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