第1話 木村真紀と着物
突然 熱に浮かされるように 着物にはまり込んでしまった私。
この 着物道を通り越した けものみちを歩き始めてから 気づけば3年が過ぎました。
3年!
振り返ってみると たった3年で よくぞこんなところにまで
来てしまったものだと ため息がでます。
まあこの3年の間に 随分色々な経験をしました。
語るも涙(笑)なそんな悲喜こもごもを
これからここで 少しずつ 書いてゆきたいと思っています。
記念すべき第一回は やはり着物とのなれそめ 出会いからはじめましょう。
小さい時から 手に負えないおてんば娘だったくせに
着物が大好きだったわたくし。
7歳の時 どうーーしても 七五三に着物を着たいとしつこくせがんで
オレンジの着物を着せてもらいました。
あの着物がどこから来たのか 実は覚えていないのです。
誂えてもらったのか おさがりをいただいたのか…
でも今でも私の手元にある オレンジの着物。
これが着物との出会いだったのでしょう。
どうせすぐ脱ぎたいって言いだすだろうとたかをくくっていた両親の期待(?)を 裏切り 私は着物を脱ぎたがらなかった。
頭におっきなリボンに羽根をあしらった髪飾りをつけて
近所の神社にお参りをし、お宮にあがって祈祷? までしてもらい
(母は クリスチャンだったんだけど!)
千歳飴を配る という いわゆるフルコースをきちんと済ませ
近所の友達と 写真におさまり それでもまだ脱ぎたくない。
『もう汚すといけないから』
『いやだ まだ着てる!』
と 母とこぜりあいをしたのを なんとなく覚えています。
浜松で呉服屋をしている母のいとこのところで
ピンクに梅の花が全体に散っている小紋をつくってもらってからは
おはしょりに肩上げしたその着物を お正月がくるたび 着たいとせがんでいましたっけ。
めんどくさがりの母は ただでさえ忙しいお正月に
なかなか着せてはくれませんでしたけどねえ。
でも 私と着物を引き合わせてくれたのは
やはり間違いなく 母なのです。
母との思い出が ここには詰まっているのです。
次回はその辺から 書いていくことにいたしましょう。
よかったら みなさん おつきあいくださいませねっ。
木村 真紀 (2010年5月18日)
【木村真紀流】 おきもの解説
小紋
着物全体に 同じ模様が繰り返し描かれている着物。
(背中心で、柄がつながっていない)
一般的には おしゃれな普段着。(正式な場にはふさわしくない)
大人の着物はただ羽織れば裾をひきずる長さのものを ひきずらないように持ち上げて腰紐で縛るが
こどもの着物は着せやすいように、苦しくないように あらかじめウエストあたりでたくし上げて縫い止めてある。
大きめの寸法で仕立てられた着物の裄(背中心からくるぶしまでの長さ)を 縮めるために、肩でつまんで縫い止めておくこと。
posted: 2010.05.18