きものコラム着物好きのシンガーソングライター木村真紀による連載コラム

第2話 リサイクル着物

母の着物箪笥に引きずり込まれるように

着物に興味を持ち始めた ちょうどその頃

福岡に住んでいる夫の姪っ子の結婚式に家族で出席することになり

留袖を着なくてはならなくなってしまったのです。

 

とと留袖?

私が留袖を着るなんて その時の私には想像もつきませんでした。

もちろん自分で着ることもできません。

でもともかくなんとかしなくては。

母の留袖はありました。

でもとっても地味だし 寸法も大きすぎだと思い込んでいました。

 

貸衣装?

母友に 貸衣装屋さんのお嫁さんがいて 喪服を借りたことはありました。

そうそう私 喪服を持っていなかったのです。

どうせ着ないわよねえ!の一言で

嫁入り支度に そういうものを揃えたりはしてくれない母でしたので(笑)!

でも留袖となると ランクがあって いいものはかなり高いと聞いていました。

 

リサイクルって どんなもん?

 

そういえば近くのリサイクル店には 畳じきのかなり大きな着物コーナーがありました。

のぞいてみようかな。

そう思ったのが運のつき!でした。

着物に魅せられはじめていた私にとって そこはまさに宝の山 だったのです。

もうおもしろくって 楽しくって 町中のリサイクル屋をくまなく回り 物色しました。

お店によって 状態も 値段も 随分ちがいました。

 

夢中になっている私に影響されて 娘も振り袖を着たい と言いだし それも探しはじめました。

 

結局 娘にはオレンジの古典柄の振り袖を買い

私は さんざん迷って ともかく今回一度着るための 超安い留袖を買いました。

笑っちゃうほど 安かったです。

そしてほんとに 一回限りで もうリサイクルに出してしまい

その後だいぶたってから リサイクルとしては いいお値段の刺繍の留袖を

あるリサイクル店の半額セールでGETしました。

 

いやあともかく 頭がおかしくなったというか 気が狂ったというか

時間があれば いや なくたってもぎとるようにして

どれだけリサイクル屋に通ったたことか。

というか 今も…ですが。(まあ少しは 落ち着きました)

 

しかし そういう人が どうも山ほどいて

お店ごとに おなじみさんが増え

着物話に花が咲きます。

話せば話すほど

あらみんなおんなじかんじ。

頭がおかしくなったというか 気が狂ったというか(笑)

 

これが着物の魔力 というものなのでしょう。

 

でもこのごろ リサイクルも値段があがってきましたね。

みんな目が肥えて 安くても状態の悪いものやサイズの小さいものには

手を出さなくなってきた。

そしてリサイクルとはいえ しつけのついた つまり新しいものや

サイズもたっぷりしたものが増えてきました。

だから値段もそれなりに高い。

まあ ある意味ちょっと つまらなくなってきた。

前には 掘り出し物をGet!! なんてことが

ちょいちょいあったんですけれどねえ。

 

ということは 私は なんともタイムリーに 着物にはまった…

ということですかね。

案外 流行に敏感だったり するんですのよ わたくし。おほほ。
木村 真紀 (2010年6月1日)

 

【木村真紀流】 おきもの解説

留袖

既婚女性の第一礼装、黒留袖。

黒地で裾にだけ 豪華な模様が入っている。

五つ紋付。 (背中心にひとつ 両胸元にふたつ 両後ろ袖にふたつ それぞれの家紋を入れる)

白い比翼付き。 (本来は黒の着物の下に白い着物を重ねて着ていたが 簡略化された)

振り袖のように 袖の長い着物で家事をすることはできませんね。

つまり長い袖はお嬢様のあかし。

結婚したら 袖を短くして 家事に励む。

どうもそんな意味があるようです。やだけど(笑)

 

振り袖

成人式でおなじみの 袖の長い着物。

未婚の女性の第一礼装ですね。

 

しつけ

仕立て上がりのきものについている糸。

仕立てる時 また仕立て上がった着物の型くずれを防ぐためにつけられている。

新品のあかし。(仕立て直しの時もついていますが)

KIMURA MAKI Profile

きむらまき写真

大学在学中からスタジオミュージシャンとして活動。CM、ゲーム、アニメ音楽など様々なジャンルを歌いこなす『七色ヴォイス』。もののけ姫『えぼしたたらうた』NHKおかあさんといっしょ『ぱわわぷ体操』ゲームアヌビス「Z・O・E」など作品多数。

結婚出産後、3枚のアルバムをリリース。一筋縄ではいかない日常をキラキラと…せつなく、やさしくうたうコンサートは、幅広い世代に共感を呼んでいる。

2011年『響き合いプロジェクト』を立ち上げ、『仮設がなくなるまで!』を合い言葉に今も東北復興支援継続中。復興応援CD『祈り/わたしはひまわり』をリリース。利益をすべて復興支援に寄付している。

東京音楽大学作曲専攻。2016年度松蔭大学生活心理学科非常勤講師も務める。

プロフィール詳細・活動履歴

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